舞台は麻薬だ！

　私の夏が終わりました。昨日の朝、今日起こる全てを記憶にとどめたいと思いました。楽屋で交わした会話やメイク道具のにおい、緞帳が上がる音、照明の熱とか。そしてそれらの出来事は本当に思い出となってしまいました。今日、何事もなかったように月曜が始まりました。
　３月の世界選手権のFSの日の朝。あの日の緊張と今日の緊張とどちらがつらいかなと想像したけど、まったく別物の緊張でした。　開演ベルが鳴ったら後は全てノンストップでした。練習とまったく変わらず、ことは進みました。ただひとつ違うのは目の前に５００人の観客がいたということ。それで全ての要素がそろったのです。私たちの士気を高揚させるに十分な熱気でした。やっぱり本番は楽しい!!スポットライトの下、観客の前で踊るなんて快感以外のなにものでもない！だから私やめられないのだと思う。この快感のために。私を突き動かしたているものの正体。それは「練習が楽しい」とか「音楽表現したい」とか「ジョニーのため」ではなく、「私を見て欲しい」という単純な欲求だったのだ。
　この舞台のためにこの夏を捧げました。ああ終わったなあって余韻に浸っています。成就したなあって満足感にあります。私ほんとにやりたいことやって生きてる。
　発表会の中身ですが、最初は全員でOP。３曲続きます。今回は懐中電灯とストールを使った演出。曲調はホラーファンタジー＆カーニバル（？）風。私の出たナンバーだけ言うと、次はタンゴの男振り。これは傘を使ったナンバーで、出だしの行進曲みたいなところからタンゴの旋律に変わるとこが好きです。それから次が主要メンバー総出演のウエストサイドストーリーのナンバー。これは今回の舞台の目玉というか最難関で、エンジン全開でないと最後まで踊りきれません。どうだろ本番ぼろぼろだったような気がするのですが。。。少なくとも私はアドレナリン大放出してがんばりましたよ。あとお笑いナンバーもありました。私が振り付けのとき先生に踊るの拒否したナンバー。結局やりましたが。一部の最後には一部のフィナーレがあり、これはOPとストーリー的に続いています。二部は小品集的構成で、バレエありヒップホップあり、ファンキーありディズニーメドレーありのお馴染みの構成になっています。私は一応バレエメンバーなので２部の最初からスタンバイです。このバレエナンバーに関しては一番自信あったし、余裕を持って表現できたと思う。私の持ち味ってやっぱりバレエだと思うし。次は先生たちと踊ったブルース。これはスカートとヒールさばきが大変で、振りは自信あったのだけど、スカートがひっかかるハプニングで振りがとびました。自分では雰囲気出せたと思ってますが。最後はフォッシーのナンバー。これは帽子を使った
ナンバーで、体力より神経使いました。でもビデオで見た限りでは一番かっこよかった。曲も好き
で、別の自分を楽しめた。最後は毎回おんなじオリジナルのED。一人一人お客さんの前で挨拶しておちゃらけて盛り上がって、幕が降ります。この舞台を昼・夜の二回やるので、結構体力入ります。
　今こうして何事もなかったように家事して幼稚園ママしてるのが不思議。昨日の今頃はバリバリ
メイクして露出度の高い衣装着て、舞台袖で出番を待ってたのに。ほんとに楽しかった！幸せだった！充実してた！舞台が好き！踊ることが好き！そして先生はじめ仲間が好きです。同じ経験をできたことに感謝！そしてもっともっとうまくなりたい、という次なる目標が生まれました。現に小さい頃したどんな習い事よりも、学生時代にしたどんな部活動よりも長く続けています。私を動かすものの正体はこの本番の快感にあるのだなってわかりました。まさに麻薬です。この快感のためならなんでも犠牲にできるって思ってしまう。どんな遠距離も長時間も空腹も暑さも肉体の限界も購買意欲も（？）年齢も（！）忘れさせてしまう。５月からの練習、ほんとに楽しかった。幸せだった。私しばらく余韻に浸って他のことに集中できないかも。。。。こんな充実感って他ではないよ。私の体がまだ踊りたいよ～ってうづいてる。