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全米を振返りながら五輪を想う [フィギュア・スケート]

息子、3年ぶりのインフルエンザにつき家で軟禁状態。
今頃ネットサーフィンしてます。

長いことアメリカ男子を応援してきましたが、今回のオリンピック代表の面々は色々な
意味でアメリカ男子的に”史上初”だよね。

まずビンセント君の17歳が最年少記録なんじゃないかな?ジェイソン君19、ネイサン18
のその下をいくのだから。今までアメリカ男子は他の国に比べて平均年齢が高かった。
たとえ3枠あっても3人とも20代というのが多かった。ライサやジョニーだって20,21。
んでアメリカのネットの記事読んで知ったのだけど、リッポン君の28歳はなんとオリンピック
初出場最年長記録だそう!!確かにエルドリッジは2回目のオリンピックだった。
これほどあきらめずにスケート続けた選手って他にいないってことだよね。
今シーズンのリッポン君の活躍にはほんとに心から驚いている。


その記録以上にネットを騒がせているのはリッポン君が「冬季オリンピック史上初のオープンリー
ゲイ・アスリート」だということ。正確にいうと今回北米からはリッポン君含め3人のオーブン
リーゲイのアスリートが代表に選出されているそうです。夏季オリンピックではリオ大会の時に
カミングアウトする選手が続出したそう。背景には2014年にオリンピック憲章が改訂され、
「性的指向による差別の禁止」が明記されことがあるそう。

でも私が思うに同じカミングアウトと言っても他の競技とフィギュアスケートでは全然違うよね。
フィギュアスケートという採点競技だとやはりジャッジの心象っていうのがあるから。
そういう点からみるとリッポン君の今季のSPはジャッジ受けしないんじゃないかと思っていた。
ジョニーのバンクーバーシーズンの時のSPと同じ意味合いで。
ジョニーのあのSPを見たときの衝撃、それ以前にあの衣装を見たときの衝撃と言ったら、、、。
う~んジョニー誰に対する挑戦状?保守的な思考のスケ連?ジャッジ?それとも常に真っ黒衣装の
宿敵・ライサへの当てつけ??って思った。
んでそのシーズンは何をやってもSPの時点でライサには勝てなくて、全米での戦闘モード全開SP
の演技でも3位、ノーミスで圧巻だったオリンピックでも得点抑えられ、、、。
それもそのはずジョニーのSP「I love you, I hate you」は衣装は黒地にショッキングピンク
のリボンにフリル、フリンジと細部までこだわったデザインで、音楽は前半のジャンプシークエンス
では静かなピアノのソロなんだけど、後半はアップテンポなラテンのリズムに転調、その途端振付も
ウインクや投げキスなど挑発的なものに変わる。、、、あれじゃあジャッジは引きまくりだろうなー
って私だって思った、、。あのシーズンのEXナンバー「ポーカーフェイス」もしかり、なんというか
すでに「R指定」、あのパフォーマンスを世界放映したくなくてジョニーを6位にしたとかしないとか。

がしかし!リッポン君のSP「Let me think about it」はさらのその上をいくヤバイさだった!!
スケスケのシースルーの衣装にあからさま視線だけでもヤバイのに、物腰やポーズの時点でもう色々
炸裂してて、んでバトル振付のダンサブルな振付もリッポン君がやるとなぜかひどく〇イテイスト
になるという。さらに全米ではすべてのアメリカ選手がそうであったようにリッポン君戦闘モード
に入っていて、表情とかもういっちゃてる感がありすぎ。これがあのエンジェルボーイと呼ばれた
リッポン君??ってショックのほうが大きかったわ、。なんかあのヘアスタイルといい、いっちゃ
ってる表情といい二枚目台無しだよ~~(泣)って女性は思っちゃうよね。
でもなんとそれに対してあの高得点。ああ時代は変わったな~って思った。

これがオリンピック憲章で唱えるところの「性別・性的指向によって差別しない」を踏まえての
評価なのかな?フィギュアの採点において、リッポン君のあのパフォーマンスは個人的な性的指向
ではなく、音楽解釈と捉えられるようになったということ?よく考えれば女子だってみんなもっと
昔から色気振りまいて演技してるし。アシュリーのあのスカートたくしあげる動作とか誘ってる感
ありありのジェスチャーとか、彼女だけでなく10代の選手だってちょっとこの振りどうなの?って
選曲してくるよね?そもそも「ムーランルージュ」も「バーレスク」もコールガールの物語だもん。
男子選手が〇娼(としか思えない)やってなにがいけない?平等じゃないよね?って話。
あくまでも曲調を表現するために役柄になりきっているのなら、それは音楽解釈と捉えても
いいのではないかと。そう意味ではリッポン君のパフォーマンスはガチで曲調に合っていると思う。
そういう解釈が国際大会でもされますように。


ジョニーとリッポン君、すごく似ているのはSPだけではない。
あのいわば汚れ役といってもいいようなダーティな雰囲気のSPでドン引きさせた(全米のお客
さんは盛り上がってたけど)後は、今度はその対極にあるようなピュアなフリーで会場の雰囲気
を浄化するという離れ業をやってのける。その辺の芸風の幅広さも共通している。
ジョニーの「Fallen Angel」にリッポンの「Arrival of the Birds」はともに人間でない=ジェンダー
のない存在を表現している。
”堕天使”も”翼の折れた鳥”もすごくすごく似ているテーマだ。
あの頃すっかりスケート界では異端者扱いされ得点面でも冷遇されていたジョニー。
オリンピックでのフリーの演技はまさに天上から引づり降ろされ、地上で裁きを受ける者の姿を
体現していた。

対して今シーズンのリッポン君、すでにピークを過ぎた年齢の上五輪プレシーズンにケガで全米・
ワールドともに欠場を余儀なくされ、五輪選考レースからは完全に遅れをとっている状況だった。
そんな彼に連盟から出された条件というのが、すべての大会で表彰台→ファイナル進出→アメリカ
人選手最下位では意味なし→全米優勝でも代表になる保証なし、という無慈悲なものだったそう。
ケガ明けのベテラン選手にはまず無理と言われていたそれらの条件をすべてクリアしたリッポン君。
スケアメで脱臼した肩をはめ直して演技した背景にはそんな事情があったのだ。
この4回転時代にクワドレスのリッポン君が優勝できる大会などなく、彼にとっての唯一のモチベー
ションがオリンピック出場だったんだよね。これらの情報は全米後にネット解禁して初めて知った。
連盟的にはネイサンが金をとってくれれば後は誰でもいいわけで、リッポン君、特に救済された
とかではなくただの団体戦要員らしいです。
なんか色々悲しくなってしまったんだけど、そのせいでなおさらフリーで彼が演じたいものが
理解できたというか。空に向かって翼を広げるのだけれど痛みがあって飛べない鳥の姿。
後半の伸びやかなステップの部分は大空を飛んでいる自分を夢見ている姿なんじゃないかな。
リッポン君世代はみなすでに引退し、どこの大会でもいつも最年長。群れからはぐれた孤高の鳥。
ジョニーの「堕天使」そうであったように彼の「鳥」にはある種神聖で厳かな空気が流れていて、
演じている彼の姿は悲しいくらい美しく、終わった後の余韻がすごかった。
こういうカタルシスのあるPGはなかなかないと思う。
リッポン君のこのブログラムが私にとって8年前に終わった苦しい恋!?の再来になるとは、、、


ジョニーとリッポン君、SPが「俗」ならフリーは「聖」だ。
かたや〇娼、かたや無性の存在。
それは紛れもなく彼らのうちにある二面性なのだ。”自分とは何者か”を突き詰めた先にたどり
ついた姿にも見える。そういう意味でこれらのPGを振付たジェフ、やウィルソン、ベンジー・
シュウィマー (←何者?)ってすごすぎる。3人とも男性だよね?〇イだよね?
なんかものすごく意図的な振付だからそうとしか思えない。でもジェフが踊っていたら全然違う
イメージなんだろうな。なんか爽やかに踊ってそうだ。
対して「白鳥」を振付たタラソワがジョニーに見出したイメージは中性的な美なんだろうな。
真央ちゃんのなかに強く激しい女性のイメージを見出したように(←「仮面舞踏会」「鐘」「ラフマ
ニノフ」)彼らは恐らく振付師のインスピレーションを刺激する選手たちなのだろう。
振付師のドリームを現実にできる選手たち。ジェイソン君ももちろんそのタイプの選手。

そういう誰にもまねできないオリジナリティとか、ステレオタイプでない音楽表現などがもっと
もっと差別化されたらいいのに。でも4回転時代って意外に早く終わるんじゃない?って気がする。
芸術性重視とは別の次元で。今回のオリンピック代表の顔ぶれみれば明白なようにこのままじゃ
アメリカ選手、アジア系ばかりになっちゃうよ。ネイサンもビンセント君もいい子だし、アダムが
お父さんっていうのもとっても微笑ましいけど、アメリカ男子の伝統が~~って思っちゃう。

でもこのなかでリッポン君が2番手で選出ってのはとっても大きい。ジェイソン君がいる限り3番手
だったから。でも今シーズン、蓋を開けてみればどの大会でも最終順位はリッポン君のほうが上で、
結果最終選考会の全米SPでリッポン君2位と評価が入れ替わった。さらに波乱のフリーでもぶっ
ちゃけあんなにジェイソン君が崩れるとは思わなかった。あれがなかったらリッポン君の救済もなか
ったわけでジェイソン君、もしかしてわざと代表の座譲った?、、、リッポンがかわいそうすぎて(妄想)

ピョンチャンオリンピックどんな大会になるのでしょうか??楽しみでもあり怖くもあります。
一連の国内選考会を見ていて、すっかり試合展開が読めなくなってしまいました。


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